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魚の死後硬直食べごろ熟成とは?やばい血抜きのポイント神経に秘密あり

新鮮な鮮魚が何日もかけて熟成されてうまみ爆弾が落とされる。

最近はやりの熟成肉、肉の熟成に関しては生ハムや、塩漬けは有ります魚の熟成に関しても漬け込んで熟成させる方法はありましたが、冷蔵庫などの調理機器の発展によりそのままでの熟成も確立されつつあります。熟成肉ステーキなども二酸化炭素の送風を当て続けるなど研究も進んでいます。
今回は魚の熟成に関して紹介していきます。家庭でも出来る方法も紹介いたします。

 

 

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死後硬直とはどういうこと?

魚も酸素や栄養を取り込んで活動をしています、活動するにはATP(アデノシン三リン酸)というのを使います死んでATPが補給できなくなると筋肉のたんぱく質のアクチンミオシンが結合します、これにより死後硬直が始まります。

 

ADP→ATP→IMP→HxP→Hxへの一方通行の自己消化反応が進みます。

魚肉は死後硬直後から細胞内の酵素が働いてうまみ成分のイノシン酸が増えます、この反応は人間にとって良い反応なので熟成と呼ばれます。

 

死後硬直が解けてからは消化器官の中に居た細菌や外部からの細菌の酵素によって分解が進められます、これは人間にとっていい影響ではないので腐敗となります。
死後硬直に入るまでの時間を遅らせて、硬直している間にも低温にして自己消化を抑えることが鮮度維持の重要な要素になります。

 

ちなみに、鮮魚と活魚の違いは水槽などに入っている食べるのが目的で泳がせている、水槽で輸送した物も活魚と呼びます。また生きたままの魚を即殺してまだ死後硬直が始まっていない魚も活魚と呼ばれまず。
鮮魚とは、船の上で氷締めされた魚を仕入れて死後硬直が解けた物を鮮魚と呼びます。鮮魚でも刺身など加工してしまったら鮮魚とは呼ぶことができません。

 



 

 

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脊髄は第二の脳

釣った魚の首の骨を断ち切って絞めたつもりでもまだ、脊髄の神経は生きているのでエネルギーを消費します。絞めて30分くらい経った頃に突然バタバタと暴れだすのはまだ生きているからです。筋肉が動けば体温も上昇し含有ATPも消費します、ということは身が焼けうまみのない魚に仕上がってしまいます。

そこで神経締めをするのです、血抜きだけならおおよそ4~10時間で死後硬直が始まって硬直後から腐敗に進むところが、神経を破壊・抜くことで魚のゾンビ化を防ぎ硬直を最大24時間遅らせることが可能になります。

うま味成分爆上げ熟成法

うま味成分を上げるためにはまず最初に魚肉内の栄養を極力失わないようにすることです、釣った魚でお話ししますが釣ってすぐに脳を傷つけ脳死の状態にします、そしてエラの内の膜を切り網などに入れて海水中で振って血を流出させる、難しい場合はバケツに海水を入れて振っても良い。
そのあとに神経締めをするのですが高等技術のためやりやすいようにすると、頭を落としてしまい脊髄の上(背びれの方)の小さな穴にワイヤー又はピアノ線を通して神経を破壊・傷つけます。

 

また魚は死ぬと筋肉中のグリコーゲンが乳酸に分解する過程で発熱しそのままにしておくと肉質が落ちます。これを防ぐために神経締めしてすぐに海水氷の中に入れるのですが、あまり急激に冷やすと今度は筋肉が収縮して死後硬直が早まりせっかく神経締めしても無駄になります。
そこで海水の半分くらいの真水を混ぜて氷を入れれば下がりすぎることなく、海水よりも3度以上低くなりベストな状態になります。5~10分漬けておくと発熱を抑え血液が抜けて透明感のある身質になります。

 

あとはクーラーボックスに入れて持って帰るだけですが温度は10~15度がベストです。氷が直接触れると氷焼けするので魚体を新聞でくるんで氷も直接触れないように袋に入れるか隅の方に入れましょう。
持ち帰った時に手で持ってダランとせずにカチンとなっていたら死後硬直に入った証拠です、その場合は0℃の氷室へ入れましょう、体表の雑菌の繁殖が抑えられ魚肉内の酵素が不活性になることで硬直が解けるまでの時間を延ばすことができます。

 

寝かすのであれば、まず体表をきれいに洗い、一番痛みやすい内臓系を全部洗い出し血合いも取り除き、ぴちっとシートなど脱水シートにくるんで冷蔵庫で3日~10日寝かせましょう、その間にも一日一回様子を見て端の方を切って味見をしてシートも替えて良い塩梅を見つけてください。

神経締め・血抜きをすることによってゆっくりゆっくりと硬直していきますすると硬直後にうまみが増えていきますが、しっかりと処理した魚であればうまみが出る伸び率が処理していない魚よりも倍以上伸びることがわかっています。

 

 





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津本式 究極の血抜きとは?

今話題の究極の血抜きを簡単に紹介させていただきます、まずは発案者は宮崎県の魚やさんの仕立て人「津本光弘」さんが考案した方法です。

(津本式は専用の道具があれば楽にできますが代償もききます)最初に生きているのであれば脳天を刺し脳死の状態にします、次に魚体を洗ってぬめり、雑菌を取り除きます、エラの内膜に包丁一本中骨まで刺し、尾っぽの方は切り落とさないように中骨だけを意識して切ります。

 

尾っぽの方に中骨を見て背びれ側にある小さな穴がありますそこが神経系で(反対に腹側が血脈です)そこにワイヤー又は津本式ノズルで水圧をかけます。この時に神経(白い紐状)が抜けます。

もう一つの血脈にも圧をかけ身がなんとなく張ってきたら、エラのあけた穴からホースを突っ込んで頭側から血を抜く(尻尾の切れ口から水が飛び出る)これが津本さんが行き着いた究極と言われる血抜きです。

 

そのあとは同じように内臓を取り水分を切って、袋に入れて真空にし氷水の中に入れて熟成に入ります。

 

 

 

どこで食べれる?

しかし実際に釣って血抜きをするのが面倒という人はどうすればいいか?

 

最近では、熟成魚のすし屋さんもどんどんと出てきました、今一番伸びているのはyoutubeにも投稿している「熟成鮨利他」がいいネタを揃えています。

https://www.youtube.com/watch?v=yUf–DlU-84

 

 

場所は〒553-0003 大阪府大阪市福島区福島2丁目7−17 2F

 

利他さんでは、津本式の魚も揃えていますが、また違った方法でマグロの熟成に取り組まれてます。

その方法とは!?

生ハムのような乾燥熟成

方法は簡単、冷蔵庫に入れて風を当て続けるだけです、この方法ではマグロをブロックで購入しなければいけないですが手間はかかりません。

冷蔵庫で風が出ないタイプのもありますが、その場合は携帯タイプの扇風機で代用できます。約四日間風に当て続ければ完成です。
後は外側を削ってみれば中身はまだ新鮮な色のままです。